未来潮流バックナンバー 3.防衛問題について(2) |
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平成11年5月31日 私は、今後の自衛隊の進むべき道の選択肢は以下の3つしかないと考えております。 (1)安保条約を事実上改定して、双務条約とし、米軍の補完兵力として組み込まれる。 (2)自衛隊の警察機能を強化し、自らの判断で国連の平和維持活動に参加し、国際的な 評価を得ることにより、安全を保障する。 (3)非暴力・非抵抗の徹底した平和運動を展開し、世界各国の共鳴を求める。 現在は、ガイドライン関連法案の成立により、(1)の方向に向かっております。基本的な疑問は、「冷戦は終結し、世界が軍備縮小の方向にむいているのに、なぜアジアにおいて日本が実質上の増強をする必要があるのか」です。今までこの疑問に的確に答える議論を聞いたことがありません。今必要なのは、@対ミサイル防衛、A国内でのテロ活動の阻止、B国際的に認められる平和維持活動、の3点だと思います。着上陸作戦を発動して、事実上日本を占領するという意思と能力をもった国は周辺にはいない、という事実認識が重要だと思います。(2)(3)の方向で全力投球することが、1番の安全保障になると考えています。 先日、広島水交会(旧海軍出身者の会で、最近防衛大学校及び海上自衛隊関係者の入会も認められるようになった)の総会に参加してまいりました。そこで呉水交会の大之木英雄会長(大之木ダイモ社長)が「国家と市場経済」と題して基調講演をされました。内容は、「アメリカを中心に、数十兆円にも及ぶヘッジファンドを中心とする高リスクの金融商品が世界中をかけまわっており、国家をしのぐ勢いである。この状況の中で日本の国益をどう守るのか、しっかりと考えていかなければならない。」というものでした。休憩中にガイドライン法案についての質問をいたしました。「専門ではないので」とお答えでしたが、コソボ問題でも見られる通り、市場経済だけでなく国際問題においてもアメリカのあせりが感じられるのではないでしょうか。「日本はこの10年をアメリカ基準に向け空費し、生きる方向感覚・根本原理を失った」わけで、「日本の国益」について政治がしっかりと舵取りをしなければなりません。
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