未来潮流バックナンバー  

 2.防衛問題について(1)

平成11525日 

 先日、ある勉強会で「防衛問題について」というテーマでお話をさせていただきました。私が政治を志すようになった原点であるこの問題について、ある程度考え方をまとめる機会になりました。防衛大学校当時、毎日訓練にあけくれる日々、一方で週末の外出時に横須賀のまちでは「自衛隊は憲法違反」とのデモが繰り返されていました。このまま続けていたら「自分の人生自体が訓練になってしまう」と思い、松下政経塾の受験を決意したわけです。当時は自治体にも議会があることすら知らなかったわけですが、政経塾での研修を通じて他の政治の問題点にも目が向くようになり、また選挙の厳しさ自体も先輩の選挙応援を通じて体験できました。そこで広島市議会にターゲットを絞ったわけですが、その後の経過はご存知の通りです。

 「防衛問題」について今までにもいろんな議論をしてまいりましたが、まず体系的にこの問題を理解していくことが大切だと思います。その際、重要な論点が3つあります。

(1)何から何を守るのか この点では、日本に脅威を与える意思と能力を持った国はあるのか、日本において守るべき価値は何か等があります。

(2)どうやって守るのか 専守防衛が基本であり、日米安保条約により補強されています。ただ、日米安保は米軍が戦闘状態に入った場合の自衛隊や、日本政府の役割が不明確で、今回のガイドライン関連法案はこの点を補強するものです。

(3)守れるのか よく聞かれる質問ですが、日本の自衛隊は北朝鮮が攻めてきた場合に戦えるかを考えた時、精強さ・士気の面で私は非常に厳しいと思います。「自由」という価値観を根底に持っている限り、「戦場において勝つ」ことに全てを集中することは不可能だと思うからです。また有事の際、国内の法体系のもとで十分な対応が可能なのか(道路交通法を遵守するのか等)という有事立法の問題も残っています。

 いろんな議論がありますが、私はどれかの分類に入ると思います。この3点を明確にしていかない限りは、この問題の解決は不可能ではないかと思います。特に今回成立したガイドライン法案は、米軍の補完兵力としての自衛隊の役割を明確にしたもので、また自治体をも巻き込んだ協力態勢が要請されるわけです。特に広島県には極東最大の川上・秋月弾薬庫があり、今後の施設周辺の整備や有事の際の役割を考えると大きな問題を抱えています。前述した3つの論点についてのコンセンサスが不十分なままで、また有事立法もない状況では、時期尚早だと考えています。

(次回に続く)


未来潮流目次へ

次のレポートへ