こうじマガジンNO.262 (2010.2.24)  


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こうじマガジン NO.262

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「2010年2月8日から2010年2月14日までのダイアリー」



●●2010年2月8日●●


「広島県議会民主県政会県外調査。」

今日から二泊三日の予定で広島県議会民主県政会県外調査に行って参ります。
メンバーは会派内で総務委員会、農林水産委員会に所属する議員4名です。
調査地は鹿児島県奄美市及び沖縄県です。朝7時前に家を出て広島空港へ。
8時20分初の那覇空港行きの便に乗り込みました。
那覇までの飛行時間は2時間弱、空港で乗り換え、
約1時間のフライトでお昼過ぎに奄美空港に到着しました。

昼食後1時に奄美市笠利町にある奄美市笠利営農支援センターを訪問しました。
この施設は、「農業支援の中核的施設として、新規就農者・担い手の
栽培技術取得、土づくり・生産管理・技術や経営及び流通研修会の実施、
優良苗供給等複合的な支援を図る」ことを目的としています。
研修期間は原則2年以内で基礎研修1年、2年目以降は実践研修
となっていますが、平成13年度からの実績を見ますと、
入所者数14名・修了者数11名・就農者8名(兼業も含む)となっています。

6年近くの成果がこれだけか、と思いますが、
広島県でも県立農業技術大学校がありますが、現状では入学者数が23名、
卒業生24名に対し就農者は7名で就農率は29%(いずれも直近10年間の平均値)
で県の描く活性化行動計画の平成27年数値目標新規就農者数140名(年)
にとても貢献しているとはいえない状況です(新規就農者数はH19年度で
26名)。それほど就農支援というのは困難ですが、
ここでは具体的な課題を明確にしています。

まず農地確保がおもうようにできず規模拡大等ができないこと、
準備資金・労働力不足、他業種からの転進が多く
栽培技術がなかなか身につかない、他の農家との協調性が薄い、
といった点です。これからは農業だ、という掛け声は
あちこちで聞かれるようになりましたが、こうした現実を目にすると
何か画期的な方向転換が必要なのではないかと思います。


もう一つ私は興味を持ったのは、奄美大島の特産品さとうきびの生産実績です。
昭和40年に栽培農家1825で生産量約2万トン、生産額が約1億8千万円
だったのが、平成20年には栽培農家533で生産量約3.4万トン、
生産額が約8億円と変化していることです。
農家数は四分の一に、生産額は4倍になったということで、
大規模化・効率化が大きく進んだことを意味しています。
それでも1農家で平均すると生産額は約150万円しかなく、
これではとうてい生活できません。1農家1000万円の生産額を上げる
ことを目標とすると約80農家程度に集約しなければならないことになります。
さとうきびといえば沖縄県ですが、沖縄県の栽培農家戸数は1万8千戸、
生産量88万トン、産出額は177億円となっています。
農家数では圧倒的に奄美大島のほうが効率化に成功しています。

農業関係のこうした数字を追っているといつも切なくなってきます。
三菱重工広島製作所で「従業員一人当たり1億円の売り上げ」
という数字が頭にありますが、奄美大島のさとうきび農家は
「1農家当たり150万円の売り上げ」ということになってしまいます。
この圧倒的な差を農業では決して埋めることはできません。
産業として農業をどう育てていくのか、根本的に考え方を変える以外にはない、
と思っています。

訪問した営農センターは島の北部の平野地帯に位置していて、
奄美市中心部までは車で1時間の行程です。
途中どうしても立ち寄りたい場所があったので遠回りをしました。
龍郷町(たつごうちょう)にある「西郷南洲謫居跡」です。
ここは、私の尊敬する西郷隆盛翁が奄美に島流しになったとき
現地妻の愛加那さんと暮らした宅跡というこいとで、
一度は訪れたいと思っていました。ひとしきり西郷さんに思いをはせながら、
その雰囲気を満喫しました。
夕方5時過ぎに奄美市中心部の宿舎に到着し、この日は奄美市泊。



●●2010年2月9日●●


「広島県議会民主県政会県外調査(2)。」

朝9時に奄美市役所へ。今日は奄美市の定住促進策について調査しました。
奄美市の人口は約5万人で高齢化率は25.3%です。
私が驚いたのはH19.9に奄美振興総合調査のアンケート結果で、
在住者の84%が島に住み続けたい、出身者の65%が帰島したい、
進学・就職で島外へ出る高校生は89%うち75%が将来帰島したい、
と答えていることです。ではなぜ戻ってこれないのか、
これもアンケート結果によりますと、
「労働条件(給与・福利厚生)の良い仕事があること」
が必要だと52%の人が答えているそうです。

奄美大島の主要産業は大島紬(生産額約20億円、ピークは昭和55年で286億円)
と前述したさとうきびですから、大企業誘致という大技以外
労働条件の良い仕事は当分期待できません。
期待される観光も年間観光客数は40万人でほぼ横ばいといった状況です
(広島市は1000万人)。市当局の考え方も「沖縄型観光は目指さない」
として、自然の中での体験型の観光メニューを意識しているようで
爆発的な観光客の増加は望めませんし、
私自身はこれは非常に見識のある選択だと思いました。

こうした状況の中移住・定住促進対策を行っていますが、
H19年度の実績で問い合わせが146件、移住世帯8世帯23人とのことでした。
課題はやはり「住居と職」とのことでたいへん苦労されているようでした。
ただ私は島の自然を生かし、今の生活を維持していくことに
もっと知恵を出していけば素晴らしい未来がこの島にはあるのではないか、
という予感を持ちました。とりあえず奄美ファンの一人に
加えていただきたいと思います。


終了後奄美空港に移動し、12時過ぎの便で那覇空港へ向い、約1時間で到着、
次の訪問地沖縄県うるま市にあるトロピカルテクノセンターに向いました。

この会社は、「沖縄地域への頭脳産業の集積を図るべく策定された
沖縄頭脳立地構想の中核的推進機関として、
沖縄県、地域振興整備公団、関係市町、民間企業の出資により設立された
第三セクター企業」です。広島県にも同様の会社として
広島テクノプラザがありますし、全国には14の頭脳第三セクターがあります。
設立は平成2年10月25日で、資本金1億円、従業員数は69名
うち37名が技術系職員です。健康食品や化粧品をはじめ10の事業領域に渡り、
シーズ発掘・研究開発・事業化に取り組んでおり、
そのうち研究開発、情報開発、企画調査、施設賃貸事業を
主な4本柱としています。その中でも新通信コスト低減化支援事業は、
「沖縄を拠点とした沖縄と本土間を結ぶ通信回線を利用する企業に対して、
低価格な通信回線をリセールすることにより、県内産業の振興・集積・活性化、
ひいては県内雇用の拡大を図ること」を大きな目的としており、
沖縄県から1.5億円の補助を受け実施している事業です。

売上高は約8.8億円(うち約2億円が補助事業)で、
平成20年度は約3800万円の赤字となっています。
ちなみに広島テクノプラザは売上高約2.5億円で、
平成20年度は1200万円の黒字となっています。
研究開発事業の主な内容としては、貝毒検査キット製造開発や
日本国内に20台程度しか設置されていない人ゲノム次世代シーケンサを
3台設置し、国内有数の集積度を誇っています。

事業概要の説明をお聞きした後、施設の見学を行いました。
研究スペース、オフィススペースをレンタルラボとして利用でき、
現在10社が入居しほぼ満室状態で運営されているようです。
隣接している沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターは、
「産学官連携等による健康バイオ等に特化した研究及び実証開発を行うこと
により、その成果が本県において魅力ある製品開発や
付加価値の高い新たな産業創出に繋がる拠点を目指す」
ことを目的としています。前述した分析機器・実証機器を利用でき、
コンサルティング業務もおこなっており、現在10社が入居
新製品開発等に取り組んでいます。

沖縄県には基幹産業を中心とした製造業の大手の進出が見られず、
こうした新分野での商品開発、ベンチャー企業の育成に
大変手厚く支援を行っています。
この日は那覇市泊。



●●2010年2月10日●●


「広島県議会民主県政会県外調査(3)。」

朝9時半に沖縄県議会へ。今日は「米軍基地の現状と課題」
について調査します。この問題についての私自身の考え方は
すでにこのブログでも述べさせていただいておりますので(1月4日)、
それを補足するデータ等を中心に報告させていただきます。

まずは「米軍基地の約74.2%が沖縄に集中している」
(施設面積ベースの数字で、施設数でいうと約4割)という点です。
そして「その約75.9%を海兵隊が使用しており、軍人数も海兵隊が1万2千人と
全体の約6割を占めている」という実態です。この海兵隊という組織は
1月4日のブログを参考にしていただきたいと思います。

大事なのはこの海兵隊の主力部隊(約8000人)は
既に米軍再編計画でグアムに移転するという事実です。
沖縄に残るのはキャンプハンセン、キャンプシュワブといった
県北部・中部にある広大な訓練場と、後方支援・補給輸送といった
任務を負う部隊が駐留する問題の普天間基地だけということになります。
「この地域に軍事的空白が生じる」という主張は、
アメリカが決めた海兵隊移転という米軍再編計画そのものを否定
しなければなりませんし、嘉手納基地には空軍が残ることで
かなりの抑止力を持つことは間違いありません。
では普天間基地の機能も全部グアムに移ってもいいのではないか、
というのが率直な感想です。

次に経済面での影響を見てみます。
沖縄県の県内総生産は3.7兆円、うち基地関連収入は2155億円で
その構成比は5.4%、昭和47年当時の15.5%に較べると
その比重は大幅に低下しています。一方で観光収入
(入込観光客数は約400万人)が約4000億円ということですから、
県内経済における基地の存在というのは低くなってきていると言えます。
昼食後は普天間基地のある宜野湾市役所へ。
ここでも基地問題についての説明を受けました。
経済的に見ると普天間基地で働く日本人が約200人、
宜野湾市への基地関連収入が約10億円ですから、
こちらでもとにかく早く返還してほしい、との主張です。

途中寄った「佐喜眞美術館」も印象的でした。
広島にもゆかりのある丸木位里先生の「沖縄戦の図」が常設されていて、
ドイツ画家のケーテ・コルヴィッツの作品も非常に感動しました。
現地に着てみて、「基地問題解決の方向性は見えてきたな」という実感です。
午後6時発も便で広島空港へ。9時過ぎに自宅着。



●●2010年2月11日●●


「県外調査の写真をアップします。」


奄美市笠利営農支援センターの研修用のハウスと、
西郷南洲謫居跡で撮影した写真が計2枚。

沖縄県うるま市にある、(株)トロピカルテクノセンター
に隣接する沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターと、
普天間基地のそばにある佐喜眞美術館で撮影した、
写真の計2枚掲載しました。

佐喜眞美術館では、館長の奥様でご案内をいただきました。


●●2010年2月12日●●


「学生インターンスタート。」

朝8時から宇品ジャスコ前にて街頭演説。
今日から学生インターンがスタートします。今回は2名の受入ですが、
今日は広島大学教育学部の河原さんが参加してくれました。
もう一人の広島大学総合科学部の石原さんは明日からとなります。

終了後事務所にて来客対応2件の後、3月一杯まで続くインターン活動の
オリエンテーションを行いました。密度の濃いインターンに
していきたいと思います。

昼食後1時半からは民主党広島県連で、
放射線影響研究所の皆さんからの要望を受けました。
その後三菱重工労組広島支部で打ち合わせ、
県庁に移動して数件の打ち合わせをこなしました。
時間に追われる一日でしたが、それぞれのご要望をしっかりと
処理していきたいと思います。

夜は連合広島の皆さんと懇談会。


●●2010年2月13日●●


「 「連合広島議員懇談会」学習会。」

朝9時に白島中町公園へ。今日は「日本を変える公衆トイレ掃除」に
学生インターンの二人と参加しました。早速公衆トイレ掃除に参加してもらい、
彼女たちには驚きだったかもしれません。
一所懸命の大切さをいつも実感します。終了後の感想発表で二人とも、
「また参加したいと思います」と言っていましたので
来月も参加することになりそうです。

終了後すぐに着替えて「連合広島議員懇談会」学習会に出席しました
(広島グランドインテリジェントホテル)。
広島県の地方議員は全部で641人いますが、
そのうち連合広島が推薦した議員で構成する連合広島議員懇談会は
70人になります(1割強)。その議員団の学習会ですが、講演が二本、
「地方主権下における議会のあり方」と題して
前栗山町議会事務局長の中尾修氏と、
「広島県における労働行政の現状と課題」と題して
広島労働局長の勝田智明氏です。

中尾氏は日本で初めて議会基本条例を制定した栗山町議会での経験を生かして、
議会改革の問題提起をされました。
広島県議会でも9月定例会を目標に基本条例の検討に入っていますが、
そのポイントを「徹底した情報公開と共有・住民参加」とされ、
議員間の自由討議と首長の反問権、議会報告会の開催といった
条例の基礎要件について強調されました。
「チーム議会としての活動」が大切だとの指摘ですが、
どうも地域主権の動きにはいくつかの異なる動きがあるように思います。

中尾氏は早稲田大学マニフェスト研究所(元三重県知事の北川氏が主導)や、
事業仕分けで一躍有名になった構想日本を抱える東京財団(日本財団がバック)
にも所属されています。まずはこの一派の動きがあります。
さらに私自身も注目している大阪府知事や名古屋市長のグループ、
首長連合といいますか首長が強烈なリーダーシップを発揮して
議会改革を進めていくグループがあります。
こちらは地方議会ボランティア論の色合いが濃くなります。
また道州制の導入こそが地域主権だとするグループ、
これも根強く活動されていて、PHPの江口前代表等が
そのリーダー的存在だと思います。

こうした動きとはまったく別だと思いますが、
原口総務大臣が進めている原口プランが大きく動き出しています。
現実的にはこちらの動きがメインになるわけですが、
地方自治法を抜本改正して議員を行政要職に起用する
という広義の議院内閣制を導入するというもので、
最終的には同法を2013年夏までに「地域政府基本法」(仮称)に
衣替えすることを目指す大胆な改革です。
こうした動きが今後どう展開していくのか、
しっかりとフォローしていかなければなりませんが、
重要なのは広島県議会をどう改革していくのか、という現実の課題です。
地方自治がますます面白くなってくるという予感がします。

勝田労働局長のお話で気になったのは、
「高卒新卒者の就職内定率が下がると、少年犯罪の件数が増える」
という指摘です。現在の状況がまさにそうなっているので、
対策が必要だと痛感しました。



●●2010年2月14日●●


「南区子ども会冬季スポーツフェスタ。」

朝9時半から南区子ども会冬季スポーツフェスタの開会式に出席しました
(楠那小学校)。
その後は事務所にて各種原稿書きにあてました。




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