こうじマガジンNO.193 (2008.7.23)  

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こうじマガジン NO.193

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「2008年7月13日から2008年7月19日までのダイアリー」



●●2008年7月13日●●


「 「決壊」 平野 啓一郎(新潮社)を読み終えました。 」

寝不足になっています。
夢中になって読んで、今日読み終えました。

自殺者3万人、その背景には自殺志願者やうつ病に苦しむ人々、
年収200万円以下で生活する派遣労働者やワーキングプア、
ネットカフェ難民、不登校やひきこもり、児童虐待やDV、
こういった現象が日本のあちこちに見られ、
地方議員としてその最前線に触れてみると、
まさに「決壊」寸前ではないか、
という思いにかられます。

アメリカの思想家ルイス・マンフォードは、
「もし、生活とは快楽の増大と死の巧みな回避であるとすれば、
これらの病める人々(トーマス・マンの「魔の山」に描かれた
スイスのサナトリウムで生活する人々)
よりもすばらしい生き方があるだろうか」と指摘しています。
さらに「現代世界が理想とするのは、
病弱者の生活である」としています。
「決壊」の中で、
「幸福」を唯一絶対のものさしとする社会システムに
疑問を投げかける場面で、この言葉を思い出しました。

さらにマンフォードは、
「自分が狂気と正気の境目にいることを
はっきりと意識した正気の人々の世界」では、
死と破壊への願望が醗酵しており、
「文明の基準が不健康と憂鬱症と神経症であるならば、
生命それ自体が暴力意思、殺戮への意思、破壊への意思として、
野蛮な前文明的な紛争の中で再現したことは、
何一つ不思議ではない」と語り、
現代文明の崩壊現象の一側面を捉えています。
「決壊」はまさにこの延長線上にある作品であり、
未来の危機を先取りし、予見した作品ではないかと思います。

日本の本当の危機は、周辺の仮想敵国でもなければ、
世界的な経済現象でもなく、
もっと大きな現代文明そのものの「決壊」であるのではないか、
と考えさせられました。
作者自身も、秋葉原の無差別殺傷事件に関連して、
「事件は、犯人が格差社会の底辺に位置づけられていると考え、
ロジックを持って社会を壊してやろうとした点で一種のテロ。
また殺人に付随して、
自分の存在がメディアに露出することを目的としている点も重なる。
ただ、私は暴力を振るう側を批判する立場から、
人が壊れてしまうプロセスを示し、
現代の人間が直面する危機に焦点を当てた。
社会がなすすべがあるのか、問いかけてみたんです」と語っています。
今の自分自身の生活を考えさせられる一冊でした。



●●2008年7月14日●●


「事務処理。 」

朝8時から、段原・的場交差点にて街頭演説。
汗のにじむ街頭活動になってきました。
今日は、全日本海員組合への活動報告や、
来月発送予定の活動レポートの作成、
名簿整理等事務処理にあてました。


●●2008年7月15日●●


「 「のぼうの城」 和田 竜(小学館)。 」

今日は、午前中事務所で来客対応(河川の不法係留問題)、
午後は後援会活動の打ち合わせ、
夜は財界の方との懇親会と続きました。

先日市内で勤務しているインターンOB生が、
是非読んでみて下さい、と事務所に持ってきた
「のぼうの城」 和田 竜(小学館)を読み終えました。
先日から読書で完全に寝不足になっています。
豊臣 秀吉の小田原攻略の際、
石田 光成が攻めた北条方の支城、
忍城(おしじょう、現埼玉県行田市)の攻防戦
を描いたものです。

光成はこの城を、
秀吉の一番弟子らしく水攻めにしますが、
堤は味方兵の工作によって決壊、
圧倒的な兵力による2度にわたる総攻撃にもこの城は持ちこたえ、
小田原城陥落とともに残念ながら開城することになります。
なぜこの城は光成三万の軍勢に、
たった三千で持ちこたえることができたのか、
歴史上は諸説あるようですが、
作者は「のぼう」(でくのぼうの略)と呼ばれていた
家老、成田 長親の統率力と軍略によるものと捉えています。

ストーリー展開もわかりやすく、一気に読み終えました。
私は勝手に現代においては、
小泉前総理のようなイメージではないか、と感じました。
志は持ちながらも政界の評価は定まらず、
棚から牡丹餅的に政権を担うと、
追い詰められた自民党を率い、
圧倒的な強さを発揮します。
そのポイントは大衆を惹きつけ注目させる天性、演出力、
短いけれども心を打つ言葉の巧みさ、
こうした点は主人公とイメージがかぶりました。

私は戦国武将では、石田 光成に魅力を感じていますが、
主人公とは対極にあるリーダーシップとして描いています。
考えさせられる一冊でした。



●●2008年7月16日●●


「アドプト制度。 」

午前中、広島地域事務所建設局と南区役所に行きました。
公共事業費がカットされる中、
道路や河川の維持管理にかかる経費も
頭打ちになっています。

例えば広島市内の6本の川の護岸部分に
整備されている河岸緑地は、
ほっておけばすぐに雑草が生い茂り、
せっかくの親水空間が台無しになってしまいます。
定期的な草刈りや、ごみ拾いは欠かせません。
アドプト制度というのは、
こうした道路や河川の維持管理を
町内会や地域の団体が責任を持って行う、
というもので、
マイロード・マイリバーとして
大切にしようという制度です。

今宇品地域でこのアドプト制度が導入できないか、
町内会の方々と相談しています。
せっかく整備しても
適切な維持管理がなされなければ、意味がありません。
町内会が中心となってこうした街づくりができれば、
と呼びかけています。
是非実現したいと思います。

午後は来月発送予定の後援会会報誌の打ち合わせ。
夜は久しぶりに広島大学名誉教授の渡辺先生と懇談しました。
知的刺激にあふれたお話で、ワクワクしました。


●●2008年7月18日●●


「建設委員会。 」

朝10時半から建設委員会。
初当選した平成11年に建設委員会に所属して以来、
9年ぶりになります。
今日は新しい構成での始めての委員会ですので、
説明員の紹介や所管事項の説明があり、
質疑応答に入りました。

今回は広島都市高速道路について質問しました。
おもに3点について、
まず平成25年に広島高速1号から5号までの
ネットワークが完成予定ですが、
工程は順調に進んでいるのか、
計画見直し・変更の恐れはないのか、
二点目は5号線の二葉山トンネルについて
住民側から不安の声が上がっているが、
これにどう対処していくのか、
さらには広島市と県との間に
二葉山トンネルについての認識のズレ
があるのではないかということ、
そして最後に整備を進めている
高速道路公社の意思決定システムについて、
中国地方整備局・県・市・商工会議所の
トップが会する運営会議等の場を利用して、
透明性の確保やしっかりとした説明責任を果たす
ことが必要なのではないか、という趣旨です。

「市民運動が起きている」ことを
もっと深刻に受け止めるべきだと私は考えています。
県議初当選以来取り組んでいる「出島地区廃棄物処分場問題」でも、
市民運動が立ち上がり、
その連携や進め方についてけんけんがくがく議論し、
熱くなっていった経験があります。
今後もこの問題は追及していきたいと思います。
夜は建設委員会メンバーでの懇親会(国際ホテル)。


●●2008年7月19日●●


「第二期民主リーダーズスクール。 」

午後1時半から、第二期民主リーダーズスクールに出席しました。
民主リーダーズスクールとは、広島を良くしたい、
日本を良くしたい、世界を良くしたいという想い
を共有する仲間が集まり、
お互いに切磋琢磨しあうことを目的としています。
講師として、政界、財界、学界、スポーツ界など
の第一線で活躍する多彩な専門家をお招きし、
参加者も一体となった本質的な議論を交わしていきます。

第2期は今年9月までの6ヶ月間の設定でスタートしました。
私自身は担当外で今日初めて出席させていただきました。
というのも今日の講師に財界からということで、
広島の観光戦略に詳しい
グランドプリンスホテル広島の橋本 哲充支配人に
お願いした経緯があって、講演をお聞きしようと思ったからです。

グランドプリンスホテル広島は、
橋本氏が支配人に就任されてから、
順調に売り上げを伸ばしてきています。
特にブライダル部門は1.5倍以上の伸び、
宿泊者数も二倍近い伸びと
この5年の伸びには驚異的なものがあります。
その秘訣、リーダーシップのあり方等たいへん参考になるお話でした。

さらに、広島の観光戦略についても、
国が進めている「ビジット・ジャパンキャンペーン」で、
訪日外国人数は835万人と5年前に比べて倍増しているが、
このうち広島に訪れている外国人は
たったの31万人(宿泊客は23万人)であること、
さらには日本人も含めた宿泊者数でみた場合、
広島は530万人で全国18位(1位は東京で3700万人)、
うち観光はたったの140万人(残りはビジネス)で、
この数字は岡山の147万人、山口の176万人と比較しても
少なすぎるという指摘でした。
その原因は
「広島は全国の観光マップから完全に抜け落ちている」
つまりアピール力が不足しているということと、
大規模な国際会議や見本市をこなせる
(コンサート等も含む)施設がないということ、
をあげておられました。
「昔の広島に逆戻りしていませんか」
という問いかけに危機感を感じました。

私自身は「貸し座敷業」である観光産業には
あまり関心を払ってきませんでしたが、
「ヨーロッパの歴史と伝統のある都市の最大の収入源は観光」
という指摘には考えさせられました。
「広島は今が底なので、これから伸びていくだけ」
という橋本氏の指摘には元気づけられましたが、
行政として何ができるのか、検討が必要な分野だと痛感しました。




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