こうじマガジンNO.88(2004.1.30)  

「住民合意」

地方議員として最も悩むのが、
この住民合意という問題です。
私は政治の役割は、
「社会的に立場の弱い人たちに
その光を当てる」ことだと考えています。

前回メルマガの乳幼児医療費無料制度の問題、
小児難病の問題、高齢者・障害者の問題は、
一定の対象者に税金を集中的に使うということに
住民(納税者)の合意が得られるか、
が重要な判断基準となります。

社会的に立場が弱い人たちというのは、
一面被害者とも考えられます。
環境問題でいえば、行政や大企業の方針で
日常生活において被害を受けている、
あるいは受ける可能性のある人たちといえます。

先般広島市の公共事業見直し委員会の
中間報告が出されました。

その中では、私が5年前から取組んでいる
「出島地区廃棄物処分場設置事業」について、
「一時中止が適当」とされています。
その理由は「住民合意が得られていない」
というものです。

広島市長が財政再建を主目的に設置した
この委員会が出した結論というのは、
非常に重いものです。

今回は、住民合意とは何か、
という視点からもう一度この問題については
考えてみたいと思います。

この事業は、産業界の要請等に基づき
広島県が廃棄物の海面最終処分場を
出島沖に設置するという事業です。
既に環境影響評価書も完成し、
事業の許可権者である広島市長も許可を与え、
昨年8月から護岸工事がスタートしています。

関係する地域の3つの小学校区
(宇品・宇品東・元宇品)からの代表が参加する
協議会との間で、環境保全協定も交わされ、
事業終了まで協議会は継続して
行われることになっています。

見直し委員会では、こうした経緯・手続きでは
十分な住民合意は得られていない、
と主張しています。

事業参加(広島市は護岸整備の負担金を支払う)の決定、
事業実施の許可は広島市長の権限ですから、
市長がこのことをどう捉えるかは
まだはっきりしていません。

ただ、広島市長が住民合意は得られていない
という理由で見直し委員会の中間報告通り、
一時中止(事業への負担金を広島市は出さない)、
という意思決定が行われるとすれば、
県当局も事業は一時中止してでも
仕切り直す必要があります。

住民合意という問題は、
憲法で保障されている地方自治、
その基本である住民自治という概念を
具体的にどう捉えるか、の問題です。
住民自治の枠組みは間接民主主義、
つまり選挙と地方議会という方法で
保証されています。

しかし、今回のような特定地域への迷惑施設の
設置に関する住民合意の形成という課題を、
民主的にどう処理するかには
確固とした制度はありません。

全国的には住民投票を行うという例もあります。
住民自治組織である町内会や社会福祉協議会が
住民を代表している、という考え方も
全ての住民がこれらの組織に
属しているわけではありませんし、
組織構成も民主的な手続きが保証されている
自治組織ではありません。

一方で、
処分場のような施設設置に賛成か反対か、
と問われればやはり反対という声が
多くなるのは当然です。

公共の福祉のために地域住民が我慢する、
という面もなければ地方自治そのものが
成立しなくなります。

反対者も、
漠然と反対の声を上げるだけでなく、
運動論として住民の声を1つにしていく
努力をしていかなければ、
議論そのものが成立しませんし、いつまでも
結果がでないということになります。

住民の意思はどこにあるのか、
私たち議員が真剣に考え、
見極めなければならない重要な課題です。

<主な行事>
1月24日(土) ドットジェイピー(学生インターンの派遣調整を行うNPO法人)による
         学生インターン希望者との面接会(2月から2名の学生インターンを
         受け入れます)。宇品体協ソフトバレー
1月25日(日) 元宇品で自主トレ
1月26日(月) 旭町・出汐交差点街頭演説、公明党広島県本部新年互礼会
1月27日(火) 会派会議、南 一誠さんの所属事務所の新年会
1月28日(水) 東雲地区あいさつ廻り、福祉勉強会
1月29日(木) メルマガ原稿作成、介護勉強会
1月30日(金) 港湾勉強会

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