こうじマガジンNO.78(2003.11.07)  

「広島県議会ロシア・欧州訪問団に参加して」

10月13日(月)から20日(月)まで、
県議会の派遣でロシア(サンクトペテルブルグ、モスクワ)、
欧州(アムステルダム)に行ってきました(日程の詳細は
こうじマガジンNo.77 「平成15年10月の活動」参照)。

私自身はロシアは3回目です。
今から20年前、防衛大学校4年の夏、
学んだロシア語が通用するかと友人と2人で行きました。
2回目は2年前の夏で、今回の訪問につながる
サンクトペテルブルグ市建都300周年記念祭への参加、
交響楽団の交流、ワガノワバレエ学校訪問等、
文化交流事業の提案に行ってきました。

ロシアの印象はこの20年で大きく変わりました。
20年前の「管理された強国」というものから、
「混乱した途上国」といったイメージです。
都心部の大渋滞、年式の古い汚れた車、失業者らしき若者が
昼間から街にあふれかえっているといった状態は、
まさにアジアの混乱を連想させます。
しかし、この2年で確実に豊かになったと感じました。
資本主義が定着してきたんだと思いますが、
貧富の差が拡大したり、地下経済・マフィアの存在等
深刻な課題があります。

さて今回の訪問は
2年前の文化交流事業の提案が実を結んだという意味では、
私にとりまして貴重な経験でした。
県執行部のご苦労により、10月15日から18日までを
「ひろしまウィークinサンクトペテルブルグ」と題して、
サンクトペテルブルグ市民の皆様に、
広島の文化・芸術を紹介する、という画期的な事業です。

約90名の広島交響楽団(オーケストラと和太鼓の競演)、
25名の千代田町中川戸神楽団、副知事一行、
そして我々県議会一行、さらにツアー参加の皆様含めて
総勢約300人、JALチャーター機で広島空港から
サンクトペテルブルグに出発しました。

交響楽団の演奏、神楽公演ともに現地市民の方々に
高い評価をいただき、この事業は大成功を納めたといえます。
その陰には交響楽団・神楽団の皆様の厳しい練習、
現地市民の方々との草の根の交流という努力がありました
(この経過は、11月8日(土)13:30から
広島テレビで放送されます)。

この文化交流事業は今後も継続して行うことを現地でも
確認いたしましたが、このサンクトペテルブルグとの
交流の背景には、広島県が進めている
「エルミタージュ美術館分館建設構想」があります。
エルミタージュ美術館の分館を広島県に誘致し、
世界のトップレベルの芸術作品を鑑賞する機会を
広く提供しよう、という構想です。

既に国際的芸術文化拠点整備構想策定委員会
(外部委員会)の提言を受け、拠点整備に向けた手法・
運営主体・立地場所等の検討を行っています。

それによると延床面積4000u分館建設の場合、
建設費28億円、収入約3億円・支出約3.4億円で
約3千万円の赤字(都心型の場合で、
郊外型(空港周辺を想定)だと赤字は約7千万円)、
延床面積10000u分館建設の場合、
建設費70億円で赤字は2.2億円
(郊外型だと2.5億円)と試算しています。

広島市中区上幟町の県立美術館の場合は、
延床面積19926u、建設費145億円、
平成14年度の収入1億円・支出5.7億円
(赤字の4.7億円は県の一般財源から)、
年間入場者数約24万人です。

これらの数字を見ると、
美術館経営は採算事業としては厳しい、といえます。
ただ広島県の文化資源として、全国から、全世界から
注目される資産を赤字覚悟で残すかどうか、
という政治判断です。

今回の訪問では、
広島県と同じくエルミタージュ美術館の分館設置事業を
進めているアムステルダム(オランダ)も訪問し、
その計画の概要も調査いたしました。

この計画は自治体が行っているものではなく、
アムステルダム市内のニュルンケルク教会で
10年前から美術館を運営しているキリスト教系の
NPO(民間の文化団体)が主体となっています。
市内アムステル川近くの古い老人ホームを改築して
利用しようというものです。

まず来年2月末に展示スペース500uの
エルミタージュアンデアムステルダムを開館予定です。
4階建てで1階部分にはカフェ・レストラン・ショップを、
2・3階が展示スペースで、4階は子供達が絵の練習ができる
実習室を予定しています。

県立美術館の10分の1程度の小規模なものから始めて、
軌道の乗れば展示スペース4100uの本格的な分館を
同じく隣接する老人ホームの本館を改装して
設置しようというものです(2007年開館予定)。
建設費は4億円(将来の本館は50億円)で、
運営費も合わせて経費の半分を入場料で、
残りの半分をスポンサーから集める計画とのことです
(このスポンサーには北ホーランド州や
アムステルダム市も含まれます)。

この美術館では、「オランダにないものを補充する」
という考え方で企画展をうっていくということで、
7万人の入場者が採算ラインとのことでした。
現実的に採算面も合わせ、子供達の芸術教育という側面や、
オランダにないものを企画展で示していく
(例えば、来年は「発掘されたギリシャの金」、
秋には「ニコライ皇帝の妻と子供達」、
再来年は「ベネチアの芸術」)という発想は、
文化度の高さを感じさせられました。

広島県でどう展開するかはこれからです。
しっかりと議論していきたいと思います。

<主な行事>
10月29日(水) メルマガ原稿、広島県総合福祉大会
10月30日(木) 宇品海岸1丁目町内会で要望を聞く、港湾関係勉強会
10月31日(金) 学生インターン打ち合わせ、選挙応援
11月1日(土) 保護司業務、選挙応援、宇品学区ソフトバレー
11月2日(日) 保護司業務
11月3日(月) 郷土フェスタ(宇品)、県立美術館
11月4日(火) 普通会計決算特別委員会(公安委員会)、韓国総領事館訪問、
         第5回広島政経塾勉強会準備会
11月5日(水) 青少年健全育成大会(中国新聞ホール)、イズミ本社訪問
11月6日(木) 障害者スポーツ大会広島県選手団壮行式、
         松下政経塾上甲前塾頭来広、高齢者福祉勉強会、選挙応援
11月7日(金) 普通会計決算特別委員会(教育委員会)、宇品海岸1丁目町内会

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