こうじマガジンNO.56(2003.01.10)  
「軍事革命(RMA) 〈情報〉が戦争を変える」 
中村 好寿著 中公新書 を読んで


 新年明けましておめでとうございます。
今回のメルマガは防衛大学校時代の恩師、
中村 好寿氏からの年賀状で、
上記の御著書を出版されたとのことで、
早速購入し読んでみましたので、
そのご報告をさせていただきたいと思います。


防衛大学校では防衛学という特殊な講座があり、
戦略論・戦史・国防論・航海学を学びました。
中村教授は当時陸上自衛隊の一等陸佐で、
政軍関係(シビル・ミリタリーリレーションズ)の
講義を担当されておられました。

「軍事革命(RMA)」では、
「将軍たちは、前回と同じ戦争を今一度戦おうと考え、
その準備に心血を注いでいる」と非難されている通り、
情報化社会では新しい戦争を
新しい軍事理論で戦わなければならない、
としています。

新しい戦争とは、双方が「殺傷・破壊」を繰り返す消耗戦ではなく、
情報技術(IT)や精密誘導技術を駆使し
「要(かなめ)打撃」と「同時打撃」により、
国家の指揮・統制機能を麻痺させる麻痺戦、を意味します。

新しい軍事理論とは、戦略サイバー攻撃に始まり、
正規軍が展開する「前線」を飛び越えて
無人偵察機や精密誘導技術で、
指揮・統制機能、兵站、輸送、予備兵力にいたるで、
同時打撃を行い、国家機能の不全を目的とし、
政治交渉により戦争目的を達成するというものです。

「戦場とは、常に厚い霧に覆われているもので、
敵情は常に不明である」と考えられていたものが、
偵察衛星・無人偵察機・地上センサーといった
強力な情報収集システムが出現し、
これらのデータ情報をコンピューター分析により
脆弱地点、しかも「要」となっている地点が特定され、
IDAサイクル(情報・意思決定・行動のサイクル)の
速度を上げることにより
同時打撃が可能となるわけです。

湾岸戦争当時、米国統合参謀本部議長であったパウエル大将は、
「一方の手に小銃、
もう一方の手にラップ・トップ・コンピューターを持って
戦場に赴く兵士の姿は数年前にはショッキングであったが、
1990から91年にサウジの砂漠に現れたのは、
まさにそうした兵士の姿であった。
今日の戦場では、情報システムこそ
戦いの勝敗を左右する基本的要素となったのである。」
と述べています。

これまでの戦史を振り返ってみても、
圧倒的な兵員動員を背景にしたナポレオンによる消耗戦、
後装撃針型小銃(以前は銃口から弾をこめていた)
の登場による防御優位の時代、
連発銃・塹壕・鉄条網が威力を発揮した
第一次世界大戦(日露戦争もこの延長線上にある)、
戦車部隊のスピードと敵の指揮・統制機関の攻撃を主体とした
ナチスドイツ軍の雷撃戦戦略、
核兵器の出現による抑止戦略、
湾岸戦争時の長距離精密誘導兵器等、
戦争の様相は変わってきました。

ベトナム戦争では、フランス軍や米軍の爆撃機を含む
長距離火力が威力を発揮する前に、部隊を集結し、
展開し、攻撃をかけ、急いで撤退する、
いわゆる「ヒット・エンド・ラン」方式により、
忍耐強く相手に出血を強いる戦いでベトナム側が勝利しました。

コソボにおける戦争ではNATO軍の空爆に対して
ユーゴスラヴィア軍は、
爆撃機が飛来して爆撃を開始するのに要する時間を測定して、
その時間内に部隊の移動や反撃を行いました。

これからの戦争は正規軍による激突といった形ではなく、
戦争目的を絞り込み、地域を限定し、
多くの出血が予想されない形で、
ITを利用した一般市民の意識操作にまで至る、
非常に短期の戦いになると考えられます。

こうした戦争の様相の変化は
当然自衛隊のあり方にも影響を与えます。
今後の防衛問題を考える上で非常に参考になる一冊でした。


<主な行事>

12月27日(金) あいさつ廻り(市内)

12月28日(土) 裏千家淡交会青年部パーティ

12月29日(日)

12月30日(月) 街頭演説ラリー(南区内4ヶ所)

12月31日(火) 大掃除

1月1日(水)  朝起き会、宇品神田神社新年互礼会、各種団体あいさつ廻り

1月2日(木)  修道高校33回卒同窓会

1月3日(金)  公明党街頭演説に参加

1月4日(土)

1月5日(日)  広島市消防出初式

1月6日(月)  宇品ジャスコ前街頭演説、パワーウォーク 丹那町、あいさつ廻り

1月7日(火)  パワーウォーク 丹那町

1月8日(水)  平成15年度予算ヒアリング

1月9日(木)  平成15年度予算ヒアリング
   (※パワーウォークとして、一日50人の方にお会いすることを目標に
   南区を訪問して歩いています。)

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