問:
今回の雇用不安は,直接的には世界的な経済危機がもたらしたものであるが,ここまで状況が悪化したのは,構造改革の名のもと,なし崩し的に労働者派遣法を改悪し,労働環境を低下させてきたことが背景にあると言わざるを得ない。
もともと法律で禁止されていた派遣労働という雇用形態は,昭和60年の労働者派遣法の制定,その後3度の見直しによる規制緩和により,今や多くの業種で野放しとも言える状況になっている。
この結果,派遣をはじめとする非正規雇用の占める割合は,今や3人に1人に達し,一旦非正規雇用になれば,正規社員になることが困難という,雇用形態の硬直化・固定化が進行しつつある。
非正規雇用は,働きに見合った処遇がなされていないため,不安定な生活を余儀なくされており,また,今回,多くの企業が多額の内部留保を抱えながら,大量の派遣切を行ったことからも明らかなように,利潤追求を何よりも優先する企業の姿勢が批判を受けている。
企業は単に利潤を追求するのではなく,出来うる限りの努力により従業員の安定的な雇用を確保し,社会的責任を果たすべきである。もっと企業が自覚を持って安定的雇用の確保に取り組むよう,県としても強く働きかける必要があると考える。
国でも派遣元だけでなく派遣先も含めた法改正の検討を始め,企業に対し安定的雇用を求めるなど,やっと非正規労働者の雇用を重視する動きが出てきたところである。
そこで,労働者派遣法の問題についてどのような認識を持ち,国に対してどのような要請をしようと考えているのか,また,県内企業に対してどのように対処しようとしているのか,知事の所見を伺う。
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