1.道州制の導入について
こうじ質問

 道州制について、知事はこの本会議でも何度か「しっかりと研究する」といった趣旨の発言をされている。市町村合併が進めば次は県連合、道州制、といった認識には賛同する。
 しかしこの県連合、道州制の導入は法律によるわけで、国政上の問題だという側面もある。

 私は今の段階で知事がするべきことは、「将来国で道州制が導入されれば、広島県の中枢性を生かし、中国州あるいは中四国州の州都の誘致はもちろんのこと、広島県を中心とした新たな中国、中四国の夢を描いて参ります」と宣言されることだと思う。

 岡山県知事早くも州都誘致を宣言された。

 広島県は一歩遅れたという感がする。

 州都誘致に向けた知事の思い・決意についてお聞きする。
回答

 地方分権の推進や市町村合併が進展いたしますと,市町村数も減少し,市町村への権限移譲も進み,広域自治体である都道府県のあり方も変るとともに,より広域的な行政の展開や更なる都道府県の行財政改革を進める必要がございます。
 市町村合併の進展後においては,都道府県は,都道府県合併或いは道州制により,規模を拡大し,現在,国が行っている社会資本整備や,雇用・産業政策などの移管を受け,広域自治体に相応しい役割を担うべきものであると考えております。

 このため,本県では,市町村合併後に訪れるであろう都道府県合併や道州制などにおいて,広域自治体として担うべき事務・税財源配分のあり方並びに都道府県合併や道州などの枠組み及び将来的な発展方向などについて,研究を進めております。
 また,中国地方知事会におきましても,今後の都道府県のあり方について連携して調査研究することといたしております。

 道州制などの都道府県のあり方については,現在,国において,審議をされておりますが,今後の具体的な検討に際しましては,地方の意見を十分に反映される必要があると考えておりますので,本県や中国地方知事会などの意見を,国などに積極的に提言をいたして参ります。
 本県は,中国地方において, 人口や経済規模,或いは高次都市機能などが最も集積しており,来るべき都道府県再編において,主要な役割を果すことができるよう,中枢拠点性の更なる向上に向けて,積極的に取組んで参ります。

2.有事法制について 
こうじ質問

 国政上の問題という側面をもつ有事法制については、既に法案が提出され、継続審議になっているが、国、地方公共団体等の責務、国民の協力等を定めるものであり、事態発生時の対処方法として、自治体や公共機関に対する指示権と代執行権を首相に付与するなど、知事が、地方自治の本旨を実現するために有する知事権限の執行に、大きく影響を与えるものであり、現在政府において、国民保護法制の具体化にむけ検討作業が進められている。

 私は、この問題こそ県民の安全・安心のために知事が積極的に発言し、それこそ被爆県広島の知事として調査研究を行ってもいい問題だと思う。

 この法案に対する知事の見解をお聞きする。 

回答

 国家・国民の安全に関わる問題は,基本的には,国の責任において解決されるべきものと考えております。

  しかし,その内容如何によっては,県民生活や地域経済活動に大きな影響が出ることが予想されます。 このため、

 ・ 国と地方公共団体の責務や役割分担の明確化

 ・ 地方からの意見聴取と意向の尊重

 ・ 国民保護法制のあり方も含め,慎重かつ十分    な論議の必要性

 ・ 国是である「非核三原則」の遵守等

について,機会あるごとに,国へ要望してきたところでございます。

  今後とも,県民の生命,身体,財産を守る立場にある知事として,不明な点については,国に明確な説明を求めるとともに,地方の意見が十分尊重されるよう,必要な要望や意見具申を行って参りたいと考えております。
3.共同募金会の体制について
こうじ質問

 共同募金は、生活に困っている人のために集めて、そしてそういう人たちに分配する、というのが考え方であるが、平成13年度の共同募金会の決算では、募集実績額は4億3千万円で、うち配分した3億7千万円の半分以上が、社会福祉協議会に分配されている。

 社会福祉協議会では、配分金を、例えば福祉情報誌の発行事業、情報ネットワーク事業、ボランティア活動推進事業などに使っているが、これらは社協の主要事業として自らがやるべきもので、お金がなければ県や市町村が積極的に予算を組めばいい事業である。

 共同募金は社会福祉事業を経営するものに分配するというのが原則であるが、施設には2400万円しかいっていない。

 東京都の場合、16億2千万円集めて、15億2千万円配分しているが、施設・団体の整備費・運営費に5億円、3分の1を配分しており、広島県でもそれくらいは配分してもいいのではないかと考える。

 このような配分になっている点について、私は、配分をする体制に問題があると考える。

社会福祉法 第112条には「当該共同募金の配分を受ける者が役員、評議員又は配分委員会の委員に含まれないこと。」となっている。

 平成13年度の広島県共同募金会の理事・評議員名簿では、理事15名、評議員30名の中で、半数以上の方々は配分を受けている社会福祉協議会関係者となっており、これは、募金の分配を自らがして自らが取る、ということで、好ましくない状態であると思うが、県当局の見解をお聞きする。 

回答

 共同募金の配分につきましては,その公平性・透明性を担保するため設置された,配分委員会において行っており,その委員には,配分を受ける団体の関係者は含まれておらず,基本的には,適切に行われていると考えております。
 また,共同募金会の役員等につきましては,国の通知により,特に止むを得ない事情があるときは,共同募金の配分を受ける者が,別の資格で役員等になることは,差し支えないとされていることを受けて選任されておりますが,役員等の構成を含めて,より望ましい運営が図られるよう,今後,県共同募金会に対して,必要な指導を行って参ります。

4.共同募金の配分について 
こうじ質問

 共同募金が始められた当時に比べ、福祉をとりまく環境は大きく変化している。

 介護保険制度の導入にともない、福祉サービスの担い手はNPOや民間企業へと拡大しており、共同募金の配分についても、例えばNPOなどへの配分をより増やしていくといったことも必要なのではないかと思う。

 こうした共同募金の配分を受ける主体をNPO等に拡大していくという点について、どのような見解を持っているのかお聞きする。

回答

 共同募金の配分は,地域福祉の推進を図るため,社会福祉事業や更生保護事業などの社会福祉を目的とする事業を経営する者に対して行われることを基本としており,平成12年に行われた法改正により,その対象も,時代の変化に対応して,地域福祉活動などへと拡充されてきております。

 また,その配分金は,国民の貴重な浄財であることから,公平性,透明性を担保しながら,適切に活用することが求められているところであります。

 配分に当たっては,ニーズへの迅速な対応,民間活力を活用したきめ細かなサービス,地域の実情に応じた先駆的な事業などの福祉サービスに対して,特に配慮されることが望ましいと考えております。

 NPOにつきましては,平成10年の特定非営利活動促進法の施行により,法人格が認められるようになり,保健・医療・福祉の分野で活動するNPOがその多くを占めております。

 本県におきましても,法施行後,一貫して団体数が増加していることから,今後の地域福祉の推進を担う有力な地域団体となっていくことが期待されており,又,配分の対象としても適切な団体であると考えております。

 従来より,市町村社会福祉協議会を通じて,NPOなどへの支援が行われてきたところでございますが,今後とも,多用な関係者の協力を得て地域福祉活動の総合的な推進を図るためには,これら団体への配分も重要であると考えております。
5.地域福祉の充実に向けた基本姿勢について 
こうじ質問

 地域福祉というと社会福祉協議会がその担い手として期待され、実際に各地区の社協の方々はまさにボランティアで頑張っておられるわけで、地域福祉の充実に向けて県や市町村はこういった現場にはもっと予算措置をする必要がある。

 共同募金という県民の善意のシステムはもっと施設とか、生活に困っている人のために使って、地区社協には県や市町村がしっかり予算配分していったらどうか、それが充実した地域福祉を生み出すと私は思う。

 福祉はあくまで行政の仕事だという原点に戻らなければならない。

 地域福祉を充実させていくための県の基本姿勢について、見解をお聞きする。 

回答

地域福祉活動は,これまで県や市町村あるいは社会福祉協議会を含む社会福祉事業者が,主に担って参りました。

  一方,少子・高齢化の進展など,社会環境の変化に伴い,福祉に対する県民のニーズは増大し,また,多様化してきております。

 このような変化の中で,今後は,地域社会において,住民一人ひとりの積極的な参加のもと,地方公共団体による施策の実施,社会福祉事業者による事業の実施,更には,NPOやボランティア団体等による地域に根ざした福祉活動などが相俟って,地域ごとに個性ある取組みを積極的に展開する必要があります。

 このため,社会福祉協議会につきましては,住民・行政・サービス提供を担う多様な社会福祉事業者等の連携を図るとともに,自ら地域福祉のリーダーとして,住民の福祉の向上に努めていただくことがさらに重要になってくると考えており,引き続き行政としても必要な支援に努めて参ります。

 また,県は,市町村や社会福祉事業者等との役割分担のもと,NPOやボランティアなどを含めた事業者の育成,専門的・広域的な福祉事業の実施,サービスの質の向上や,利用者本位のサービス提供など,制度の適切な運営が図られるよう,今後,一層の取組みを進め,地域福祉の充実に努めて参ります。
6.生活福祉資金貸付制度と離職者支援資金貸付制度について 
こうじ質問

 地域福祉活動は,これまで県や市町村あるいは社会福祉協議会を含む社会福祉事業者が,主に担って参りました。

  一方,少子・高齢化の進展など,社会環境の変化に伴い,福祉に対する県民のニーズは増大し,また,多様化してきております。

 このような変化の中で,今後は,地域社会において,住民一人ひとりの積極的な参加のもと,地方公共団体による施策の実施,社会福祉事業者による事業の実施,更には,NPOやボランティア団体等による地域に根ざした福祉活動などが相俟って,地域ごとに個性ある取組みを積極的に展開する必要があります。

 このため,社会福祉協議会につきましては,住民・行政・サービス提供を担う多様な社会福祉事業者等の連携を図るとともに,自ら地域福祉のリーダーとして,住民の福祉の向上に努めていただくことがさらに重要になってくると考えており,引き続き行政としても必要な支援に努めて参ります。

 また,県は,市町村や社会福祉事業者等との役割分担のもと,NPOやボランティアなどを含めた事業者の育成,専門的・広域的な福祉事業の実施,サービスの質の向上や,利用者本位のサービス提供など,制度の適切な運営が図られるよう,今後,一層の取組みを進め,地域福祉の充実に努めて参ります。

回答

 生活福祉資金貸付事業は,国の要綱に基づき都道府県社会福祉協議会が実施している事業であり,修学資金や住宅資金など8種類を対象としております。

 近年の貸付状況を見ると,全国的にも貸付件数が減少していることから,国においても,世帯員の病気などにより,一時的に生計の維持が困難となった,所得の低い世帯に対し,連帯保証人がいなくても生活資金を貸し付けるなど,より利用しやすい制度の創設を検討しているところでございます。

 また,離職者支援資金についても,借入希望者の需要に応えられるよう,国において,貸付要件の見直しを検討しているとうかがっております。

 今後とも,これら制度の一層の周知を図るとともに,所得の低い世帯などの資金借入の希望に応えられるよう,国に対して,貸付要件の緩和など,制度の改善を要望して参ります。
7.支援費制度の導入に伴うサービスの質の確保について 
こうじ質問

 障害者福祉施策の市町村への事務委譲とセットで、障害者福祉分野での措置制度を廃止し、支援費制度への転換が、平成15年4月から実施される予定である。

 障害者福祉分野における介護保険版ともいえる制度で、「障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービス提供を基本として、事業者等との対等な関係に基づき、障害者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを利用する仕組」という一方で、介護保険でも見られているさまざまな問題が心配される。

 例えば県全体のサービス供給量が維持できるのか、福祉施設職員のパート化などによる労働条件の悪化・労働強化が起こる、施設・在宅ともにサービスの質が悪化するといった点である。

 現在1万人近くの方々が新たな支援費制度の対象となるサービスを利用されているが、基本的に今まで以上に十分なサービス提供が必要である。

 この制度の導入によって県は、事業者を指定し、事業者のサービスの質の評価、向上、経営状況等について指導・監督する責務があるが、サービスの質の確保に向けどう取り組んでいくのかお聞きする。 

回答

 障害者福祉サービスに関して,平成15年4月から移行する支援費制度では,障害者の自己決定を尊重し,サービスの質の確保・向上など,利用者本位のサービスの提供を基本としております。

 このため,事業者は,自らサービスの質の評価を行うことが義務付けられることとなっており,また,県は,事業者の指導・監督を行うこととされております。

 県では,事業者に対して,サービスの定期的な自己評価,利用者等に対する積極的な情報提供,苦情解決体制の確立,研修によるサービス従事者の意識・資質の向上,適正な運営や経営等の実施について,事業者説明会などを通じて,引き続き指導に努めるとともに,事業者指定に際しましても個別指導等により徹底することとしております。

 また,制度施行後におきましても,定期的に指導・監督を実施し,サービスの質の確保・向上など事業の適正な運営の確保に努めて参ります。
8.地域福祉権利擁護事業について 
こうじ質問

 支援費制度の導入に伴い,県の重要な役割として利用者への情報提供がある。

 契約の当事者とされている現実のサービス利用者は、身体が弱っていたり、判断能力に衰えがみえはじめている人たちがほとんどで、適切なサービスを選択しうる現実的可能性は少ないと思う。

 これは介護保険のサービスを利用している高齢者にも同じことが言え、そのために平成12年4月からの成年後見制度の実施や、地域福祉権利擁護事業が行われている。
 特に地域福祉権利擁護事業は、判断能力が不十分な方々に対して、福祉サービスの情報提供や助言、手続きの援助、利用料の支払いなどの援助、を目的としており、県からの6400万円の補助により、県内9ヶ所の基幹的な市町村社会福祉協議会に登録している250名の生活支援員が行うもので、現在154名の方々によって利用されている。
 契約をめぐる様々なトラブルを未然に防止するといった意味でも、この制度は重要だと考えるが、まだまだ利用しにくい状態だと思う。

 支援費制度の導入に合わせて、この事業の充実が求められていると思うが、県当局の具体的なお考えをお聞きする。

回答

 地域福祉権利擁護事業は,痴呆性高齢者や知的障害者など,判断能力が不十分な方々に対して,日常生活上の金銭管理や福祉サービス利用の手続きなどを援助することにより,住み慣れた家庭や地域で自立した生活を送れるよう支援する事業であります。

 平成11年10月に開始したこの事業は,県社会福祉協議会及び県内9地域の基幹的社会福祉協議会において実施されておりますが,利用援助件数も事業開始以来,年々増加しており,一定の成果を上げてきております。

 特に,本年度からは,施設入所者や入院中の方々も利用できるようになり,また,来年度からの支援費制度の導入に伴い,更に利用者が増えるものと考えております。

 このため,今後とも,事業に関する広報に努めるとともに,需要に応じた実施体制等につきまして,県社会福祉協議会等と協議しながら,事業の充実に努めて参ります。
9.高次脳機能障害対策について
こうじ質問

 障害者福祉に関連して、交通事故や脳梗塞などによって、脳機能の中でも記憶や判断といった高次な機能について障害を受けている、いわゆる高次脳機能障害のある方は、外見上そのハンディがわからないことから、周囲からの理解を得ることが難しく、また、現段階では障害者手帳の交付対象とされていないこと、対応した適切な医療や福祉サービスが十分には整っていないという状況におかれている。

このため、ご本人はもとより、ご家族の苦悩には大変なものがあり、早期に対策が講じられるべきである。

このような状況を受け、国においては、昨年度からようやく診断や治療、あるいは機能回復訓練などを総合的に行う体制づくりに向け、モデル事業に取り組んでいる。

本県においても早期の対応が必要であり、本年2月定例会においても、高次脳機能障害に関する研修や、国のモデル事業への新たな参加等、今後体系的な対応をしていくとの答弁があったところだが、現在の取り組み状況についてお聞きする。

回答

 高次脳機能障害につきましては,これまでも県立身体障害者リハビリテーションセンターにおきまして,試行的,先駆的に診療を行ってきたところでございますが,相談体制の整備や社会復帰に向けた取組みなど,その対策を一層進めていく必要があると考えております。

 このため,各関係機関と連携し,障害についての評価基準や,障害のある方々への支援に向けたプログラムを確立するなど,体系的に取り組んでいくことが重要であると考えており,現在,国のモデル事業の導入に伴う県内の実施体制等につきまして,関係機関と具体的な検討を行っているところです。

  今後とも,適切な医療の確保など,その支援体制の整備に向けて,積極的に取り組んで参ります。
10.福祉関連産業創生プロジェクトについて 
こうじ質問

 福祉関連産業創生プロジェクトは福祉用具に関する製造業者や福祉サービス会社と、利用者である生活者、そして自治体や福祉関係団体とをネットワークで結び、製品情報の提供や利用者のニーズのフィードバックにより,福祉器具の企画・開発を支援するもので,「福祉関連市場の活性化と福祉用具利用環境の向上を図るとともに、福祉関連産業の創生を図る」というものである。

 平成12年に約10億円かけて福祉関連産業情報システムを整備して、平成13年7月から運用を開始し、現在2年目を迎えているが、このシステムの管理運営に年間1億円程度もかかっている。
情報システムは目に見えないので目立たないが、多額の経費により整備した上に,毎年1億円程度の経費を今後とも県が負担することとなる。

 そこから何が生まれてくるか、市場の活性化が図られ、新たな元気な会社が生まれたのか、県民の具体的な豊かさに結びついたのか、しっかり検証していかなければならない。

 そこで、この事業のこれまでの具体的な成果、今後の事業展開、目に見える成果をどう上げていくのか、現段階ではっきりさせていただきたい。 

回答

 「福祉関連産業創生プロジェクト」は,産学官と利用者で構成する推進協議会を設置し,情報システムの整備・活用と福祉用具の研究開発支援を柱に推進しております。

 これまでの成果としましては,情報システムの利用会員が,法人を含めまして554会員,アクセス件数も月平均4千件を越えるなど,システムの活用が進み,例えば,「段差を感じさせない車イス」などの製品開発にも利用されております。

 また,共同研究の中から,参加企業による技術研究組合の設立や「高齢者を見守るペットロボット」など5件が商品化されており,新製品の開発への取組みも活発化しております。

 今後の事業展開につきましては,

・県内の社会福祉施設との連携はもとより,住宅改修や福祉用具の専門家で構成する全国組織と の連携による利用者ニーズの集積と提供

・医療福祉施設等と連携した試作品の評価システムの構築など福祉用具を開発する上での課題解決に向けた仕組みづくりを行って参ります。

 また,民間事業者の経営ノウハウを取り入れまして,運用経費の低減やシステムの多角的な活用を図るとともに,会員を拡大し,更なる,ネットワークの充実に努めて参ります。

 こうした取組みにより,新製品の開発を促進し,福祉関連産業の創生に結びつけて参りたいと考えております。
11.信用保証協会の機能強化等について 
こうじ質問

 現在の不況の中で中小企業を中心に資金繰りは大変大きな問題で、銀行の貸し渋りの中で、信用保証協会の果たす役割には大きな期待が寄せられている。

 一方で、銀行は、資金がダブついている時に貸し出し、資金がタイトな時には貸さないという本来的な体質があり、信用保証協会の行う保証業務は、投資・融資リスクという利益を生み出すために本来銀行が負うべきリスクを税金でカバーしている、という性格がある。

 実際に代位弁済の件数・額ともに上がってきており、平成13年度で2990件、192億円で、代位弁済率は2.9%、前年度に比べ0.3%上昇している。

 これは平成10年10月から13年3月まで行われた国の「中小企業金融安定化特別保証制度」のこげつきも大きく影響しており、13年度の金融安定化特別保証の代位弁済率は3.1%で、その他の保証の弁済率より0.4%も高くなっている。

 金融安定化特別保証は全国で30兆円、本県で6345億円の計画であったが、実績はそれを超えて

6720億円、44000件程度の保証を行っており、これからその回収が本格化するが、平成13年度末で保証債務残高は約2670億円あり、国等による財政支援があるものの、信用保証協会の保証機能の低下に結びつく可能性もあるのではないか、と危惧される。

 信用保証制度は日本だけのものではないが、銀行に対する保証割合が100%というのは日本・スイスなど極めて少数であり、英国では70%または85%、アメリカは75%または85%、フランスにいたっては50%に過ぎず、貸し倒れのリスクを銀行にも負わせるというのが一般的である。

 私はこの事業で、リスクを税金でカバーして、銀行だけが儲けるというシステムは改善されるべきであり、中小企業の経営安定化のために、銀行にももっと協力を求めてもいいのではないか、と考えており制度の抜本的見直しが必要である思う。

 今後信用保証協会の保証機能の強化についてどう取り組むのか、またペイオフの完全実施への対応を含めて、今後の県費預託融資制度のあり方を検討する必要があると思うが、県当局の見解をお聞きする。

回答

 信用保証協会の機能は,担保力の乏しい中小企業の債務を保証することによりまして,中小企業の金融円滑化を図るものでございます。

  長引く景気の低迷の中で,協会の果たす役割は,これまでにも増して,重要になってきております。

  このため,県としては,協会の経営基盤の強化を図るため,毎年,出捐金を交付いたしますとともに,代位弁済に伴う損失の一部を補填しております。

 また,市町村や金融機関においても,県と同様に基本財産への出捐を行っており,積極的かつ弾力的な保証ができるよう支援いたしております。

 さらに,県費預託融資制度において,中小企業が負担する保証料を軽減するための助成も行っております。

 今後とも,協会への支援や指導を積極的に行い,機能強化に努めて参ります。

なお,日本の信用保証制度のあり方につきましては,現在,国において,様々な議論がなされているところでございます。

 また,御指摘のペイオフ対策につきましては,国において,決済性預金の保護等の検討がなされており,その動向を見守っているところでございますが,中小企業に対する長期で低利の制度融資は,必要であるとの認識に立って,検討を進めたいと考えております。
12.出島地区廃棄物処分場整備について −廃棄物埋立護岸整備における環境への配慮について
こうじ質問

 廃棄物埋立護岸整備については、今次定例会に30億円の補正予算案が提案されている。

平成13年10月の県の環境影響評価書に対する広島市長意見に対応して、10ヶ月かけて評価書の補正を行い、処分場の護岸、廃棄物の搬入、埋立方法等に最新の技術を導入している点等、周辺環境への影響に配慮しているものと評価している。

そこで、今回補正予算案が計上された廃棄物埋立護岸整備費は当初計画に比べて大幅に増加したと聞いているが、今回の見直しにより、整備費全体はいくらになったのか、また、護岸整備に当たって、具体的にどのように環境に対する安全性の向上を図ったのかお聞きする。

回答

 廃棄物埋立護岸の構造につきましては,幅広い専門知識,あるいは最新技術を導入し,安全性や信頼性をより一層向上させるため,地震,防災,地盤,環境などの専門家で構成した技術検討委員会を設置し,検討を行ってまいりました。

 この委員会の検討結果を基に,護岸構造につきましては,耐震性の強化を図るため,基礎部の地盤改良幅を拡大すること。

 遮水性の向上を図るため,シートの上下に遮水性の保護材を設置し,完全に分離した二重遮水シート方式を採用すること。

 また,ケーソンにつきましては,施工性・遮水性を向上させるため,鉄筋コンクリート構造から,鋼材と鉄筋コンクリートを一体化したハイブリッド構造にすること,としております。

 この結果,廃棄物埋立護岸全体の整備費については,当初予定していました約300億円から,約370億円になると見込んでおります。
 事業の実施に当たっては,施工管理などを的確に行うとともに,適切なモニタリングを実施するなど,より一層の安全性と信頼性の確保に,努めてまいります。

13.出島地区廃棄物処分場整備について −協議会の運営方針につい
こうじ質問

 今回、平成14年8月の広島市長意見でも、「その基本的な考え方は適切と判断します。」とある通り、実質的な環境影響評価の手続きは完了したと言えるが、「住民理解の形成」については、未だ不十分であり、「大方の住民の合意」は得られていないとする意見が寄せられていることも市長意見には併記されている。
 私も地元住民の一人としての立場から見ると、どんなに最新の技術を駆使しようと処分場は処分場であり、地域にとって迷惑な施設であることに変わりはない。
 環境影響評価書が広島市長に提出され、事業の概要について具体的に地元説明会が開かれるようになったころから一部の住民の皆さん方が、積極的に廃棄物処分場についての勉強をされ、技術的な問題についても様々な疑問や心配をされているのも事実である。

 余水処理の問題として、海面に廃棄物を投入すれば、当然水位は上昇し、投入した廃棄物相当分の海水は当然有害物質を含んでいる可能性があり、適切に処理されなければならない。大雨を伴う台風時には、この余水が海面に流れ出す危険性も指摘されている。

 計画中の190万トン分の海水、また雨が降った際の雨水の処理等、住民にとっては気になるとこであり、また処分場内の水位は一定に保つという管理水位が定めてあるが、干潮時には外の海面と処分場内の管理水位との間に数メートルの落差が生じ、その圧力に遮水構造は耐えられるのかという問題や、遮水シートのモニタリングの方法についても不安の声が上がっている。
 反対に、住民の中にはまだ何も知らされていないという声もあり、最後まで事業者である県はこうした住民の理解を得るべく努力していく必要がある。具体的には、県・市が協力して設置する協議会がこうしたさまざまな声に答えていく場となる。

 宇品地域住民有志一同からも県当局に対して、この協議会のあり方について要望書が提出されている。

そこで、この協議会を、どのような方針のもとで運営されようとお考えなのか、お聞きする。

回答

 出島地区廃棄物処分場設置事業を円滑に実施して行きますためには,地域の方々の理解と協力が不可欠と認識いたしております。

 県としては,事業の実施に当たり,地域の皆様方の意見や要望をお聞きし,具体的な対応策をお示しすることによりまして,更なる理解の形成と連絡調整を図るため,広島市の協力を得まして,県・広島市・地域の代表者などで構成します協議会を早期に設置することとしております。

  この協議会では,例えば工事着手前でありますと,護岸や遮水工の安全性,揚陸施設や余水処理施設のより詳細な検討を行った結果などを説明いたし,また,工事中や廃棄物埋立中におきましては,事業の進捗状況や遮水シート,護岸の形状,環境調査のモニタリング結果などを説明することとし, 事業に係るあらゆる情報を明らかにして参りたいと考えております。
14.出島地区廃棄物処分場整備について −一般廃棄物の無害化について 
こうじ質問

  将来に向かって出来るだけ禍根を残さないように、搬入する廃棄物については可能な限り無害化していく努力も欠かせない。

  平成13年10月の市長意見を受けて知事は記者会見の席上で、「産廃で特に問題になるのは、焼却灰の搬入だろうと思う。したがって、焼却灰の搬入については、その凍結も視野に入れながら今後検討を進めていきたいと思う。焼却灰の処理については、今後更新していく焼却施設で、規模的に難しいところもあるが、灰の溶融固化施設をつくることも考えられる」と発言された。
 ダイオキシンが含まれる可能性が極めて高い焼却灰は入れないのなら大丈夫だろう、と考えている住民がおられることも事実である。

  この点について検討はどこまで進んでいるのか、市町村が処理する一般廃棄物からの焼却灰の受け入れはどうなるのか、また、産業廃棄物の中に含まれる民間の焼却灰はどうなるのか、現状での見込みについてお聞きする。

回答

 一般廃棄物の焼却灰につきましては,現在,県全体で約12万トンが埋立処分されておりますが,平成16年度には5万トン余りが,溶融処理される見込みとなっております。

 国の補助制度におきましても,灰溶融処理など,新技術導入の方針が示されているところでございまして,引き続き,市町村の焼却施設の更新時には,こうした施設が設置されますよう積極的に支援して参ります。

 また,産業廃棄物の焼却灰につきましては,現在,県全体で7万トン余りが埋立処分されておりますが,本年12月以降は,年間1万5千トンが溶融処理される見込みとなっております。

 本年12月から,ダイオキシンの規制強化に伴いまして,焼却・埋立処分の基準が変更され,焼却灰への対応が強化されます。これらの取組みに併せまして,今後とも,廃棄物の排出抑制やリサイクルを積極的に進めまして,埋立処分の削減に努めて参ります。
15.出島地区廃棄物処分場整備について −ゼロ・ミッションに向けた取り組み方針について
こうじ質問

  国における循環型社会の形成に向けた建設リサイクル法、食品リサイクル法、グリーン購入法等の法整備や、本県において6月定例会で可決された産業廃棄物埋立税の創設等、環境行政は新たな時代に入ってきたと実感している。

  将来的にはこれ以上の埋め立て処分が必要にならないようなゼロ・エミッションを目指していかなければならない。こうしたゼロ・エミッション、循環型社会の形成に向けた今後の県の取り組みの方向と決意をお聞きする。

回答

 地球温暖化や廃棄物問題など,今日の複雑・多様化した環境問題を解決し,次の世代に良好な環境を継承していくことは,私たちに課せられた重要な責務と認識しているところでございます。

 本県では,大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会システムから,環境への負荷が少ない資源循環型の社会システムへの移行をめざして,各種リサイクル関連法の円滑な実施や,循環型社会形成のマスタープランである「びんごエコタウン構想」の推進など,さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。

 特に,今年度は,「環境基本計画」の改定や,「廃棄物処理計画」を策定するとともに,県自らが率先して取り組むための基盤づくりとして,公共事業における環境配慮の仕組を創っていく「環境配慮推進システムの構築」など,循環型社会への道筋を明確にすることとしております。

 また,産業廃棄物対策につきましては,先の6月議会において,その排出抑制策として,新たな税制度となる産業廃棄物埋立税条例を議決いただいたところであります。

 この税制度による税収は,「環境保全活動への支援」,「リサイクルの推進」,「廃棄物の適正処理」など,循環型社会の構築に繋がる効果的な施策に活用して参りたいと考えております。

 こうした,様々な施策を効率的,計画的に展開するとともに,広く県民・事業者の理解と協力のもと,一体となって,循環型社会を構築して参りたいと考えております。